一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月7日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
ケトン体という総称だけでは、βHBの遊離酸、塩、エステル及び立体組成を識別できない。塩の重量には対イオンが含まれ、エステルを分解して得る値は製品中の遊離量とは意味が異なる。本基準は、供給形態ごとに「何を量として示したか」を再確認できる品質資料を整えるために制定する。
第1条(目的)
βHBについてJRQ-Q-001の各管理項目を適用し、立体組成、化学結合状態及び対イオンを含む含量計算の対応を評価する。生体試料で測った値を製品品質の裏付けへ流用せず、現品の成分分析に基づく説明を求める。
第2条(適用範囲)
β-ヒドロキシ酪酸、その塩、エステル、これらの混合調製物及び供給先の用途区分を確認した経口製品を対象とする。エステルは構成酸と結合相手まで特定した別形態として評価する。アセト酢酸等の他成分をβHB量へ含めず、総称のみの原料は構成を確定してから適用する。
第3条(用語の定義)
- 1. βHB:β-ヒドロキシ酪酸又はその陰イオンを指す略記。物質名は[公的化学データベース](https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/3-Hydroxybutyric-acid)で確認する。
- 2. 立体組成指定:R体、S体又は両者の混合を規格化したもの。
- 3. 遊離酸換算量:対イオン等を含めず、β-ヒドロキシ酪酸の質量を基礎として表す量。
- 4. エステル由来換算量:指定エステルに結合するβHB部分から算定した遊離酸相当の量。
第4条(要求事項)
1 品質要求:結合状態と立体組成
βHBの構造、遊離酸・塩・エステルの別及び立体組成指定を受入れ規格へ記すこと。位置の異なるヒドロキシ酪酸を識別する構造試験と、R体・S体を分ける測定を実施する。エステルでは分解後の酸の同定に加え、元のエステル分子の存在を確認し、標準物質と試験結果を提示する。
2 品質要求:塩の組成収支
塩を用いる場合は対イオンの種類、含量、水分及びβHBとの組成関係を調べること。複数塩の混合物では各対イオンを測定し、投入配合だけで比率を確定しない。事業者がβHB純度と無機成分の規格を定め、その根拠を開示する。エステルでは未反応の酸、結合相手及び残留試薬を別途規格化し、反応記録と照合する。
3 製造管理:中和と混合
中和、塩の混合、エステル化又は乾燥の実施工程を明示し、仕込み量と回収量の対応を記録すること。異なる立体組成や対イオンを持つ原料は別コードで保管する。製造施設のGMP等の認定について主体、種類及び適用範囲を公開し、工程判定記録を原料及び製品ロットへ連結する。再加工による組成の変化も出荷前に確認する。
4 検査:形態に合う定量
第三者機関に最終製品の成分定量及び重金属等の安全性関連検査を依頼すること。酵素法を用いるときはR体とS体への応答を確認し、片方の応答から総量を推計しない。エステルを含む試料は結合状態を保持する測定と分解後測定を区別する。検査機関名、対象形態、照会先を示し、回収試験と換算式を成績書に結び付ける。
5 表示要求:量の基礎
一日摂取目安量当たりのβHB量について、遊離酸換算かエステル由来換算かを明記すること。塩原料の総重量、エステル重量、対イオン量及び容器全体の含量を別に示す。R体のみを表示する場合は立体別実測値と一致させ、目安量、秤量記録、最終製品試験及び計算書を相互に点検する。
6 保存要求:形態別の変化
塩の吸湿・固結、液状品の析出及びエステルの結合状態の変化を、採用容器と実際の調製条件で検討すること。事業者が組成を維持できる保存条件と期限を定め、試験根拠を示す。液状品の希釈や粉末の計量に影響する変化があれば、使用時の操作表示も試験資料と照合する。
7 摂取上の注意
βHBという略称が同じでも、対イオンやエステルの結合相手が異なる製品を同じ重量で置き換えないよう案内すること。治療中・投薬中の者には医師への相談を促し、相談時に塩の種類と副成分を確認できる表示とする。任意の追加計量を勧めず、添付計量器と表示量の対応を審査する。
8 資料管理
原料ごとに立体組成、塩又はエステル構造、換算係数の出典及び計算過程を組み合わせて保管すること。事業者が保存期間を定め、形態を変更した際は新旧換算表の適用ロットを区切る。第三者の試験がどの異性体と結合状態を測ったか、照会時に原データから説明できる記録を残す。
第5条(評価区分)
- 適合:上位基準と形態別要求を満たし、立体組成、対イオン及び換算後表示の収支が確認できる。
- 一部適合:量と形態は確定し、換算資料の参照索引等に限る不備について補完の期限が示されている。
- 不適合:片方の異性体の測定を総量とする、又はエステル由来量と遊離量を区別しない。
第6条(運用)
自己適合宣言にはβHBの供給形態と立体指定を記載する。本協議会は申請に応じ、対イオンを含む計算と製品測定を確認する。塩の配合比、エステル構造又は酵素試験の対象を変更した際に再判定し、定期見直しで換算表示の整合を点検する。
附則
本基準は2026年9月7日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。