一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月7日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
ケルセチンの取引では、糖を伴わない分子、水和した結晶、配糖体を含む植物抽出物が近い名称で扱われる。試料を加水分解してから測定すると、もともと存在した遊離体と処理中に生じた遊離体を区別できなくなる。本協議会は、試料処理前の組成と表示する量の関係を確認できるよう、ケルセチン固有の管理事項を定める。
第1条(目的)
JRQ-Q-001を上位基準として、ケルセチンの糖結合状態、水和状態及び抽出工程を、製品の含量根拠へ結び付ける。原料の名称だけでは判断できない測定対象の違いを、取引先及び利用者に示すことを目的とする。
第2条(適用範囲)
対象はケルセチンの精製粉末、水和物、植物抽出物、担体混合物及びこれらを配合する経口製品とする。配糖体のみを指定する原料は別規格で扱い、本基準による遊離ケルセチンの適合宣言に含めない。抽出物中に残る配糖体は組成管理の対象とする。
第3条(用語の定義)
- 1. 遊離体含量:分析前に糖が結合していないケルセチンとして存在する量。
- 2. 加水分解後換算量:糖結合の切断処理を経た試料からケルセチンとして算定する量。
- 3. 水和物基準:結晶中の水を含む化学形態を質量の基礎にする取決め。
- 4. 糖結合状態表:遊離体、配糖体及び未同定成分を測定上の区分ごとに整理した資料。
第4条(要求事項)
1 品質要求:遊離体の同定
ケルセチンの構造及び採用結晶形態を規格書で指定し、標準物質との分離分析及び分光学的照合により確認すること。植物由来の共存成分を含む試料は、配糖体を残した測定でも遊離体を識別できることを示す。分子情報の参照には[公的化学データベースのケルセチン項目](https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Quercetin)を用い、実試料の同定記録を別に備える。
2 品質要求:水分と残留成分
純度は現物又は無水物のどちらを分母とするか明記し、水分測定との対応を示すこと。残存配糖体、他のフラボノール、抽出溶媒及び原料由来の夾雑物を工程ごとに検討する。事業者が管理対象と規格を定め、選定理由、分析結果及び根拠を公開する。面積比だけで水和物の質量純度を確定しない。
3 製造管理:糖切断工程の追跡
植物の種、使用部位、抽出原料の受入れから、糖切断、洗浄、再結晶及び乾燥までの実施履歴を残すこと。糖切断を行わない製法もその旨を記す。GMP等の認定を受けた製造施設を用い、認定の主体、種類及び対象工程を公開する。抽出物と精製品を同じ原料記号で管理せず、各工程ロットを製品ロットへ連結して製造記録で確認する。
4 検査:前処理による量の変化
第三者機関で最終製品のケルセチン定量と、重金属等の由来に応じた安全性関連検査を実施すること。定量では試料調製中に配糖体から遊離体が生じない条件を検証する。加水分解後換算量を参考併記する場合は処理前後の測定を分ける。検査機関名、対象、照会先を公開し、回収試験、標準物質補正及び検体ロットを成績書に対応させる。
5 表示要求:抽出物と実測量
一日摂取目安量、当該量に含まれる遊離体含量及び容器全体の量を区別すること。抽出物重量又は配糖体由来の換算値を、遊離体の実測値の欄へ転記しない。水和物の投入量から表示値を算定する際は水分の扱いを説明し、糖結合状態表、配合指図及び製品試験を照合する。
6 保存条件
粉末の吸湿、溶液での析出及び光曝露後の関連ピークを採用包装で調べること。事業者は遊離体含量と採取均一性の維持を確認して期限及び保存条件を定める。分散品では容器上部と下部の採取結果も評価し、振とう等の操作を表示する場合はその再現性資料を提示する。
7 摂取上の注意
原料形態が異なる製品同士を、表示された原料重量だけで置き換えないよう案内すること。目安量及び調製方法を包装上で確認できるようにし、治療中・投薬中の者には医師への相談を促す。植物由来表示に対応する注意事項は、使用部位及び副原料の仕様と照らして審査記録を残す。
8 資料管理
糖切断の有無、原料名、前処理条件及び表示量を一組の照合表にまとめること。試験法改訂時には旧条件での加水分解の寄与を検討し、旧版成績書を保存する。保存期間と照会手順は事業者が定め、対象包装の表示から元のクロマトグラムまで辿れることを確認する。
第5条(評価区分)
- 適合:上位基準を満たし、遊離体と糖由来換算量が分かれ、水和物補正、工程及び公開資料が整合する。
- 一部適合:遊離体の量と主要品質は確認済みで、参照資料の索引等に限る不足について期限付きの補完計画がある。
- 不適合:糖切断後の値を処理前の含量として示す、又は配糖体の残存を検査で区別できない。
第6条(運用)
自己適合宣言には、どの糖結合状態及び結晶形態を対象にしたかを付記する。本協議会は申請を受け、表示量から前処理記録を確認する。糖切断条件や結晶化工程を変えた際は改めて判定し、定期見直しでは照会時に生じた換算上の疑義を反映する。
附則
本基準は2026年9月7日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。