一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月5日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
フィセチンは水酸基の置換位置で他のフラボノールと区別される化合物である。植物抽出原料では類縁フラボノイドや糖結合体が共存し、合成原料では位置異性体、反応残留物及び結晶状態が品質情報に関わる。総フラボノイド又は総ポリフェノールの測定はフィセチン自体の証明にならず、難溶性による採取・抽出の偏りも表示値の検証を難しくする。本協議会は、位置構造、由来、類縁体及び実量を識別して公開するため、本基準を制定する。
第1条(目的)
本基準は、フィセチン原料、中間品及び最終製品における位置構造、類縁フラボノイド、由来別不純物、結晶・分散状態、製造追跡、第三者検査、含量及び保存表示の確認要件を定める。
第2条(適用範囲)
本基準は、植物抽出、化学合成その他の方法により得られるフィセチンの精製原料、抽出物、結晶、微粉末、分散調製物及びこれらを配合した製品に適用する。配糖体、別のフラボノール又は総ポリフェノールをフィセチンとして合算しない。
第3条(用語の定義)
- 1. 位置異性体:同じ分子式を持ち、水酸基等の結合位置が異なる化合物をいう。
- 2. 類縁フラボノイド:原料植物又は製造工程から随伴するフラボノール等をいう。
- 3. アグリコン:糖が結合していないフィセチン骨格の形態をいう。
- 4. 結晶状態:結晶形、非晶質及び粒子状態を含む固体の性状をいう。
- 5. フィセチン実量:担体、抽出固形分、配糖体及び類縁体を除き、目的構造として測定した量をいう。
第4条(要求事項)
1 位置構造の確認
事業者は、化学名、構造式、水酸基の置換位置及び供給形態を規格書に定めること。位置異性体及び類縁フラボノイドを分けるクロマトグラフィーに、質量分析又は構造を裏付ける分光学的情報を組み合わせる。呈色、吸光度、総フラボノイド又は総ポリフェノールのみを同一性の根拠としない。
2 類縁体と製法別不純物
フィセチン純度に加え、位置異性体、配糖体、酸化・分解関連物質及び未同定ピークを管理候補とすること。植物抽出では原料種、使用部位及び共抽出フラボノイド、合成では出発物質、触媒、反応副生成物及び残留溶媒を検討する。事業者が規格値及び頻度を定め、由来とロット推移に基づく根拠を提示する。
3 由来識別と抽出物の扱い
植物由来では種の同定、使用部位、受入れロット、抽出及び精製履歴を連結し、合成由来では製造経路を特定すること。抽出物では固形分組成、水分及びフィセチン実量を区別する。加水分解後の測定値を採用する場合は配糖体との関係、反応回収及び表示上の意味を明らかにし、アグリコン実測値と混同しない。
4 結晶、粒子及び製剤均質性
結晶化、乾燥、粉砕、分散及び混合が結晶状態、粒子の偏り又は分析回収へ及ぼす影響を管理すること。担体調製物では担体組成、原料力価及び採取時の均質性を規格化する。製法、結晶化条件又は粒子加工を変更した際は、同一性、類縁体及び製剤中の回収性を変更前と比較する。
5 第三者検査と試験資料
分析法はフィセチンを位置異性体、配糖体及び製剤基材から識別し、難溶性を考慮した抽出回収を検証したものとすること。第三者機関による同一性、含量又は安全性関連検査について、機関名、対象項目、検体形態及びロットを公開又は照会可能にする。成績書には標準物質、方法版、結果、単位、規格及び判定を含める。
6 光・酸化管理と保存
光、酸素、温度、水分、液性及び金属接触がフィセチン実量、関連ピーク及び結晶状態へ及ぼす影響を調べること。製造中の溶液保持、乾燥品、実包装及び開封後について評価する。保存条件、期限、遮光又は密栓の要否は、事業者が試験結果から定め、根拠を提示する。
7 実量表示と注意事項
一日摂取目安量当たりのフィセチン実量を、抽出物重量や総フラボノイド量と区別して表示すること。原料力価、秤量記録、製造収支及び最終製品の選択的定量を照合する。由来、アグリコン又は抽出物に関する表示は仕様書と一致させ、保存上の注意を安定性資料に対応させる。
第5条(評価区分)
- 適合:位置構造及び由来が特定され、類縁体、結晶・分散管理、第三者検査、実量、保存及び表示が追跡可能である。
- 一部適合:目的物の同定と実量は確認できるが、粒子加工後の回収又は開封後資料が不足し、補完計画が示されている。
- 不適合:総フラボノイドで同一性を代替する、位置異性体を検討しない、又は抽出固形分をフィセチン量として扱う。
第6条(運用)
事業者は、構造確認、由来別規格、結晶・製剤管理記録、第三者試験成績書、安定性資料及び表示照合表を根拠に自己適合宣言を行うことができる。本協議会は申請に応じて選定ロットの原料同定から表示値までを確認する。由来、精製、結晶状態、試験法、担体又は包装の変更時には適合性を見直す。
附則
本基準は2026年9月5日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。