一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月3日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
フラーレンは、炭素原子からなる閉殻構造を持つ一群の物質であり、C60、C70その他の炭素数の異なる同族体を「フラーレン総量」として一括すると、配合した物質の実体が不明確になる。また、製造時の煤由来成分、抽出溶媒、金属、誘導体化に用いた置換基、分散担体及び凝集状態は、炭素量だけでは識別できない。本協議会は、炭素ケージの同定、同族体組成及び供給形態を検査資料と表示へ一貫して結び付けるため、本基準を制定する。
第1条(目的)
本基準は、フラーレンを管理対象とする原料、中間品及び最終製品について、ケージ構造、同族体、工程由来不純物、分散・誘導体形態、試験法、ロット追跡、保存及び表示の確認要件を定める。
第2条(適用範囲)
本基準は、C60若しくはC70を主体とする原料、複数同族体の混合物、化学修飾した誘導体、溶媒若しくは担体へ分散した調製物及びこれらを用いる最終製品に適用する。炭素粉末、黒鉛、カーボンブラックその他の炭素材料をフラーレンとして評価しない。
第3条(用語の定義)
- 1. 炭素ケージ同一性:閉殻構造と炭素数を特定し、他の炭素材料から区別できる性質をいう。
- 2. 同族体組成:C60、C70その他のケージ種を個別に識別した構成をいう。
- 3. 誘導体化率:フラーレン骨格に導入された置換基の種類及び分布を示す管理項目をいう。
- 4. 分散調製物:溶媒、油脂、担体又は被覆材中にフラーレンを保持した原料をいう。
- 5. フラーレン実量:担体及び溶媒を除き、指定したケージ種又は誘導体として求めた量をいう。
第4条(要求事項)
1 ケージ構造及び同族体の確認
事業者は、対象をC60、C70、混合同族体又は誘導体の別まで規格書に記載すること。分離分析に質量分析、吸収スペクトルその他ケージ構造を支持する方法を組み合わせ、単なる元素状炭素の検出や黒色外観だけで判定しない。参照物質の同族体、値付け、ロット及び保管履歴を記録し、目的種と近接同族体を識別できることを示す。
2 純度及び工程由来成分
目的同族体の純度とは別に、他のケージ種、開環又は酸化した関連物質、煤由来成分、抽出・精製溶媒、反応試薬、金属及び未同定成分を検討すること。燃焼、アーク生成、抽出、精製又は誘導体化の経路に応じて監視項目を選ぶ。事業者が各規格値と試験頻度を定め、工程情報及びロット推移による根拠を提示する。
3 誘導体及び分散状態の管理
誘導体では置換基の化学名、結合様式並びに置換数の分布を定め、未修飾体と区別すること。分散調製物では溶媒又は担体の組成、フラーレン実量、分散手順、凝集の評価方法及び採取時の均質化条件を規格化する。調製物の総重量をフラーレン量として扱わず、担体又は分散工程の変更時には回収性と粒子状態への影響を比較する。
4 製造、第三者検査及びロット追跡
生成、捕集、抽出、分画、洗浄、脱溶媒、修飾、分散及び充填のうち、同族体比、不純物又は凝集へ影響する工程を特定すること。原料ロット、工程内試料及び製品ロットを対応付け、第三者機関による同一性若しくは安全性関連検査の対象、方法、機関名及び結果を成績書で確認可能にする。検体が原末か分散物かを明記する。
5 分析法及び成績書
定量法は目的同族体を他のケージ種及び製剤基材から分離し、吸着、沈降又は凝集による回収損失を評価したものとする。誘導体には置換基分布に適した方法を用い、未修飾体用の応答を無条件に転用しない。成績書には対象構造、供給形態、ロット、試料調製、方法版、結果、単位、規格及び判定を記載する。
6 安定性及び保存
光、酸素、温度、水分、溶媒組成及び容器表面が、同族体組成、誘導体、分散均一性及び容器への吸着へ及ぼす影響を調べること。沈降後の再分散性、開封後の溶媒損失並びに包装材との接触を実包装で確認する。保存条件及び期限は事業者が試験結果に基づいて定め、根拠を提示する。
7 含量及び注意表示
表示する量が特定同族体、混合フラーレン、誘導体又は分散調製物のいずれを指すか明示すること。一日摂取目安量当たりのフラーレン実量を、原料力価、秤量記録、製造収支及び最終製品試験と照合する。遮光、振とう、密栓その他の取扱表示は安定性及び採取均質性の資料と一致させ、対象外の炭素材料を含むかのような曖昧な名称を用いない。
第5条(評価区分)
- 適合:炭素ケージ、同族体及び供給形態が特定され、工程由来成分、第三者検査、実量、保存条件及び表示をロット単位で確認できる。
- 一部適合:主要同族体と実量は確認できるが、分散後の回収又は開封後資料に不足があり、影響評価及び是正計画が記録されている。
- 不適合:元素状炭素だけで同一性を判定する、同族体を区別しない、又は分散調製物重量をフラーレン実量として表示する。
第6条(運用)
事業者は、構造確認資料、同族体別規格、工程記録、第三者検査成績書、安定性資料及び表示照合記録に基づき自己適合宣言を行うことができる。本協議会は申請に応じ、選定ロットの生成工程から最終表示までを確認する。生成法、誘導体、担体、試験法又は包装を変更した場合は再評価する。
附則
本基準は2026年9月3日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。