一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月3日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
ホスファチジルセリン(PS)は単一分子ではなく、脂肪酸組成の異なる分子種から成るリン脂質であり、原料由来、変換工程、随伴リン脂質及び酸化状態が品質情報の意味を左右する。PS濃度、リン脂質画分及び原料混合物の重量を区別しなければ、表示量を正しく検証できない。本協議会は、由来から分子種、酸化管理及び表示までを一体で確認するため、本基準を制定する。
第1条(目的)
本基準は、PSを配合する食品について、由来及び製法の識別、リン脂質組成、酸化・加水分解物、分析法、保存並びに含量表示の整合を評価する要件を定める。
第2条(適用範囲)
本基準は、大豆、ひまわりその他の生物資源に由来するPS、酵素変換等により得られるPS及びこれらを含む粉末・油状調製原料を用いた中間品と最終製品に適用する。由来原料に関する法令上の表示は当該規定を優先する。
第3条(用語の定義)
- 1. PS分子種:グリセロール骨格に結合する脂肪酸の組合せが異なるホスファチジルセリンをいう。
- 2. リン脂質組成:PS及びホスファチジルコリン等の随伴リン脂質がリン脂質画分に占める構成をいう。
- 3. リゾ体:脂肪酸鎖の一部が外れた加水分解関連物質をいう。
- 4. 酸化劣化指標:脂質の初期又は進行した酸化を把握するため、事業者が原料特性に応じて選ぶ試験項目をいう。
- 5. 調製原料重量:PSのほか、随伴脂質、担体、流動化剤等を含む供給原料全体の重量をいう。
第4条(要求事項)
1 同一性及び原料由来
事業者は、PSの由来生物、使用部位又は基材、抽出若しくは酵素変換の別を供給者資料と製造フローで特定すること。同一性は頭部基の確認に加え、リン脂質としての分離挙動及び脂肪酸又は分子種の情報を用いて確認する。由来変更時は名称が同じであっても分子種組成と不純物管理を再評価する。
2 PS純度と随伴成分
PS含量を、総リン脂質、随伴リン脂質、遊離脂肪酸、中性脂質、リゾ体、残留溶媒及び担体から区別して規格化すること。事業者は由来及び製法に応じた項目と規格値を定め、その根拠を示す。リン量のみからPSを推定する場合は他の含リン成分の寄与を検討し、PSに選択的な方法との対応を確認する。
3 分子種、立体化学及び塩状態
主要な脂肪酸組成又はPS分子種のプロファイルを設定し、原料ロット間及び由来変更時の一貫性を監視すること。酵素変換では基質リン脂質、セリン源、変換選択性及び未変換物を記録する。PSの対イオン又は塩状態を分析・表示の基礎とする場合はこれを特定し、標準品との差が定量へ与える影響を評価する。
4 酸化、加水分解及び保存
原料の不飽和度、酸素、光、温度、水分及び金属接触を考慮し、酸化劣化指標、リゾ体並びにPS含量の推移を調べること。窒素置換、遮光、乾燥その他を採用する場合は工程記録で実施を確認する。実際の容器包装及び剤形で期限を設定し、開封後の密栓や保存条件を安定性資料に基づき表示する。
5 検査法及び成績書
PSを他のリン脂質から分離できるクロマトグラフィーその他の方法を採用し、抽出回収、標準品の組成、検出応答及び製剤成分の干渉を検証すること。分子種法と総PS法を使い分ける場合は結果の関係を説明する。成績書には原料由来、PS含量、方法、換算基礎、ロット、規格、判定及び酸化関連試験の対象を記載する。
6 製造管理と供給連鎖
抽出、変換、精製、脱溶媒、粉末化及び包装について、リン脂質組成、残留溶媒、酸化又は加水分解へ影響する条件を管理すること。由来原料から調製原料、製品ロットまで対応表を保持し、第三者検査の検体段階を明示する。供給者、由来、酵素、担体又は酸化防止目的の添加成分を変更する際は比較資料を審査する。
7 含量・由来表示との整合
一日摂取目安量当たりのPS量は、総リン脂質量又は調製原料重量と区別し、原料のPS力価、秤量記録及び最終製品試験から確認すること。原料由来及びアレルゲン等の必要表示は供給連鎖資料と一致させ、由来の異なるPSを一括して扱わない。純度又は配合原料量をPS含量として表示せず、保存上の注意を酸化管理条件と整合させる。
第5条(評価区分)
- 適合:PSの由来、製法、リン脂質・分子種組成が特定され、酸化及び加水分解管理、成績書、PS実量と表示が一貫している。
- 一部適合:PS含量と由来は確認できるが、分子種傾向又は開封後の酸化資料に不足があり、影響評価及び是正計画が承認されている。
- 不適合:総リン脂質又は調製原料重量をPS量として扱う、由来を追跡できない、又は酸化・リゾ体を考慮せず出荷判定している。
第6条(運用)
事業者は由来証明、リン脂質組成、酸化管理記録、ロット別成績書及び表示照合表に基づき自己適合宣言を行うことができる。本協議会は申請により、由来原料から最終製品のPS量までを抽出確認する。本基準は原料資源、変換技術、分析法及び表示制度の変更を踏まえて見直す。
附則
本基準は2026年9月3日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。