一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月11日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
完成物が規格内であったという結果だけでは、原料の変動、作業介入又は保持時間が変わった際にも同じ工程を使用できるか判断できない。また、実施後に判定条件を選ぶと、確認できた範囲と未確認の範囲が曖昧になる。本基準は、予定する使用条件に対して必要な証拠を先に定め、工程の再現性を評価した範囲を日常運用へ引き渡すため制定する。
第1条(目的)
バリデーションの対象選定、計画承認、実施、総合判定及び状態維持について要件を定める。工程条件と品質特性の関係を記録し、通常運用への移行及び再検証の判断を根拠から辿れるようにする。
第2条(適用範囲)
細胞加工に用いる製造工程、洗浄、滅菌、保管・搬送並びに品質試験法のバリデーションに適用する。電子システムを品質判断に使用する場合は、その用途に対する検証も対象計画へ組み込む。設備の据付けや運転の適格性確認を前提資料とし、設備単体の確認を工程全体の成立と同一視しない。
第3条(用語の定義)
- 1. バリデーション:定めた使用条件の下で、工程又は方法が意図した品質上の要求を継続して満たすことを証拠で確認する活動。
- 2. 検証単位:一つの計画と結論で扱う工程、品目群、方法又はシステム用途の範囲。
- 3. 重要工程パラメータ:変動が品質特性へ影響し得るため、検証と日常管理を要する工程条件。
- 4. チャレンジ条件:許容する使用範囲の中で、要求を満たすことが難しいと想定される確認条件。
- 5. 継続的工程確認:日常の工程データから、検証時に認めた状態の維持を点検する活動。
第4条(要求事項)
1 対象台帳と計画の統括
事業者は検証単位、選定理由、既存証拠及び不足事項を台帳にまとめること。工程所有部門が計画を起案し、試験部門が測定可能性、品質部門が結論の承認を担う。工程一覧と台帳を照合し、委託先で実施する工程や導入済み工程の未検証部分にも担当職務と実施時期を割り当てる。
2 開始前の前提確認
使用設備の適格状態、計測器の校正、試験法の適用性、手順版及び実施要員の資格を開始前に確認すること。実施許可票に参照記録と未解決事項を記し、証拠の解釈を妨げる不足があれば開始を保留する。過去データは取得条件と欠測の有無を審査し、利用可能な範囲を計画上で限定する。
3 仮説と受入規格の事前設定
確認する品質特性と工程パラメータの関係を整理し、試験条件、採取時点、評価方法及び不成立の扱いを計画書へ記すこと。事業者が受入規格と実施回数を定め根拠を提示する。計画承認時刻と実施開始記録を照合し、結果を見てから規格を緩める運用を認めない。
4 変動を含む検証設計
原料特性、処理量、保持時間、作業介入及び使用範囲の端を検討し、チャレンジ条件を選定すること。代表品目で群を扱う場合は、含める品目との共通性と差を比較表で示す。模擬材料の採用は実対象との挙動差を評価し、条件選定資料から未検証の組合せと適用限界を確認できるようにする。
5 証拠取得と例外の保存
実施ごとに原料、設備構成、手順版、設定値、実測値及び採取試料を結び付けること。中断、操作追加、欠測及び規格外を原記録に残し、計画との差を評価する。無効とした試行も理由と全結果を保持し、再実施の条件と承認を照合できるようにして、成立した試行だけの集計を避ける。
6 総合判定と使用範囲の承認
報告書は計画項目ごとの結果、ばらつき、逸脱及び未解決事項を統合し、成立した範囲を示すこと。品質部門は失敗原因の是正と再確認を含めて結論を審査する。重要要求を確認できない工程は通常運用へ移さず、追加検証を指示する。検証の承認と個々のロットの使用・出荷判定は別に記録する。
7 通常運用への管理条件移管
承認した範囲から日常の設定、監視頻度、採取及び逸脱判定の条件を導くこと。事業者が工程監視の規格を定め、その設定根拠を検証結果に対応させる。引継資料と実際の製造・試験記録を照合し、検証時だけ行った特別な監視が必要なまま省略されていないか確認する。
8 継続確認と再検証の判断
工程の偏り、変動幅、反復する逸脱及び原料変更を継続的工程確認に取り込むこと。レビュー記録に現状維持、追加調査又は再検証の理由を残す。対象群の拡張や重要条件の変更時は旧結論の適用性を再審査する。事業者が計画、原データ及び適用履歴の保存期間を定め、工程版から当時の結論を検索できるようにする。
第5条(評価区分)
- 適合:事前計画と全実施結果に基づく結論があり、承認された使用範囲と日常監視が対応している。
- 一部適合:重要要求の検証と通常運用への引継ぎは成立し、補助資料の整理に限る不足に補完期限がある。
- 不適合:結果に合わせて規格を変更する、不成立の試行を隠す、又は検証範囲を超えた使用を根拠なく認める。
第6条(運用)
自己適合宣言では検証単位と結論の適用範囲を特定する。本協議会はチャレンジ条件の選定から日常の工程記録までを確認する。新たに把握した変動要因や測定上の制約を見直しに用い、検証計画と状態維持の点検方法を改める。
附則
本基準は2026年9月11日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。