一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月10日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
外部試験機関へ分析を委ねても、試験結果を品質判断に用いる責任は依頼元に残る。依頼項目の名称が同じでも、試験法、検体前処理、判定規格、報告単位及び再試験の運用が異なれば、結果を同じ意味で扱えない。成績書だけの受領では、検体の同一性や例外データの扱いも見えにくい。本基準は、選定から委託終了まで、外部試験の能力と証拠を管理するため制定する。
第1条(目的)
外部試験機関の評価、契約、試験移管、検体受渡し、結果照査、異常対応及び再評価の要件を定める。依頼した試験の条件と実施結果が一致し、ロット判定に用いた根拠へ依頼元から到達できることを評価する。
第2条(適用範囲)
原料、工程内物、中間物、最終物、環境、用水、容器及び安定性に関する試験を外部機関へ委託する場合に適用する。定常委託、単発分析、緊急時の代替機関、再委託及び外部での検体保管を含む。設備保守だけを行い試験結果を発行しない業務は対象外とする。
第3条(用語の定義)
- 1. 外部試験機関:依頼元から検体又はデータを受け、品質判断に用いる試験結果を提供する組織。
- 2. 試験移管:依頼元の試験目的、方法及び判定条件を外部機関で実施可能な形へ引き継ぐ活動。
- 3. 技術取決め:試験、記録、連絡及び責任分担を定める品質上の合意文書。
- 4. 再委託:契約した外部試験機関が試験の全部又は一部を別機関へ委ねること。
- 5. 能力再評価:実績、変更及び問題を踏まえ、委託継続の可否を改めて判断すること。
第4条(要求事項)
1 候補機関の選定
依頼元は試験対象、方法、必要設備、検体取扱い及び報告形式を明確にし、候補機関の業務範囲、要員能力、設備、品質管理、認定の適用範囲及び類似試験実績を確認すること。認定の保有だけで個別試験の適格性を判断せず、質問票、資料及び必要な現地又は遠隔確認の結果を選定記録に残す。
2 責任分担と技術取決め
依頼、検体受付、方法承認、規格提示、逸脱、再試験、原データ照会、成績書訂正、保管及び変更通知の責任を技術取決めに定めること。品質契約と発注条件の矛盾を審査する。連絡窓口と代行経路を維持し、納期又は価格の合意だけで試験を開始しない。
3 試験法移管と実施能力
指定法を用いる場合は、手順、試薬、標準物質、装置条件、計算、判定及び注意点を移管し、外部機関で目的どおり実施できることを確認すること。外部機関独自法を用いる場合は、依頼目的への適用性と依頼元法との関係を評価する。事業者が受入条件を定め、比較又は実技結果の根拠を提示する。
4 検体の発送と受付照合
検体識別、数量、容器、保存条件、危険情報、試験項目及び依頼番号を発送前に照合すること。輸送条件と受渡時刻を記録し、外部機関の受付番号との対応表を保持する。破損、量不足、温度異常又は表示差異があれば試験開始前に依頼元へ連絡させ、条件付受入れの可否を承認する。
5 標準物質、試薬及び設備
外部機関が用いる標準物質の由来・有効状態、重要試薬の管理、設備の適格状態及び計測器の校正を試験の性質に応じて確認すること。該当する記録の提示又は監査で証拠を得る。設備故障や標準物質変更が対象結果へ与える影響を通知する条件を合意する。
6 原データ、例外及び再試験
全測定、計算、クロマトグラム、画像、監査証跡その他の原データの所在と閲覧条件を定めること。規格外、異常傾向、無効試験、再注入、再測定及び欠測を依頼元へ遅滞なく通知させる。外部機関だけの判断で不都合な結果を除外又は平均化せず、調査と再試験の承認経路を記録する。
7 成績書の受領照査
依頼元は成績書の検体識別、受付・試験日、方法、結果、単位、規格、判定、注記、承認状態及び版を依頼書と照合すること。訂正版では変更理由と旧版の失効を確認する。試験法又は規格が依頼と異なる場合はロット判定を保留し、照会回答と影響評価を品質記録へ結び付ける。
8 変更、実績監視及び再評価
試験法、主要設備、試験場所、責任体制、認定範囲又は再委託先の変更を事前通知の対象にすること。納期遅延、検体差異、訂正頻度、異常報告及び監査所見を機関別に集約し、委託継続を定期的に再評価する。重大な不一致時は新規依頼を停止し、既報告結果への影響と代替機関への移行を審査する。
第5条(評価区分)
- 適合:外部機関の能力、試験条件、検体受渡し及び例外を確認でき、成績書から原データの所在へ追跡できる。
- 一部適合:主要試験の管理は成立し、補助的な実績集計又は変更通知記録の不足に是正計画がある。
- 不適合:能力未確認の機関へ依頼する、受付差異を未評価で試験する、又は再試験前の結果を確認できない。
第6条(運用)
自己適合宣言では外部試験機関一覧、委託試験及び再委託の範囲を示す。本協議会は抽出した成績書から、選定、取決め、移管、検体受渡し及び例外処理を確認する。試験追加、方法変更、機関の実績及び監査所見を踏まえ、承認範囲と再評価方法を見直す。
附則
本基準は2026年9月10日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。