一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月10日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
逸脱を個別に閉じても、似た誤り、作業の迂回、照会の増加又は軽微な不一致が蓄積すれば、品質システムの弱点は残る。他方、改善という名称だけで工程を変更すると、評価されていた管理状態を失うおそれがある。継続的改善には、多様な情報から課題を選び、目的と確認指標を定め、変更管理と結び付けて定着を検証する仕組みが必要である。本基準は、改善活動を単発の提案で終わらせず、学習の循環として管理するため制定する。
第1条(目的)
品質情報の収集、傾向把握、改善課題の選定、計画、実施、確認及び標準化の要件を定める。資源投入の理由、実施前後の違い及び残留課題を記録し、品質管理体系が継続して見直されることを評価する。
第2条(適用範囲)
細胞加工、試験、設備、保管、供給者、委託、教育及び品質判定に関する改善活動に適用する。逸脱、苦情、監査、傾向分析、作業者提案、緊急事象、規制・技術情報及び経営上の品質レビューを情報源に含む。個別の是正は該当手順で管理し、その横断的な学習を本基準で扱う。
第3条(用語の定義)
- 1. 改善機会:現行要求には直ちに反しない場合も含め、管理方法を見直す価値がある課題。
- 2. 改善案件:目的、責任、対象範囲、実施内容及び確認方法を承認した活動単位。
- 3. 基準状態:変更前の工程状態を示し、実施後との比較に用いる情報。
- 4. 定着確認:導入した方法が現場で継続して使われ、別の問題を生じていないか確かめる活動。
- 5. 標準化:確認済みの改善を文書、教育、システム又は資源配置へ正式に反映すること。
第4条(要求事項)
1 改善情報の収集窓口
事業者は逸脱、再作業、監査所見、警報、試験不成立、問い合わせ、教育上のつまずき及び現場提案を改善候補として集約すること。情報源、発生日、工程、頻度の見え方及び既存案件との関係を登録する。部門別台帳を横断的に照合し、呼称の違いで同種事象が分散しないよう分類する。
2 傾向と反復の識別
単発の重大事象だけでなく、軽微な事象の繰返し、発生間隔、工程段階、設備、資材及び作業条件の共通性を検討すること。事業者が傾向を確認する区分と期間を定め、根拠を提示する。件数の増減だけでなく、記録自由記載や再確認時間も調べ、分類変更による見かけの変化を区別する。
3 課題選定と優先順位
改善候補について、品質への影響、発生可能性、検出の難しさ、影響範囲、法的要請及び必要資源を評価すること。採用、保留又は見送りの理由を記録し、責任部門と承認者を定める。声の大きさや処理しやすさだけで選ばず、未採用案件も次回見直しの対象として保持する。
4 改善計画と基準状態
改善案件には解決すべき問題、対象外範囲、基準状態、実施手順、必要な変更管理、期限及び確認指標を定めること。期待する変化と望ましくない副作用を区別して記載する。開始前の記録を確保し、後から比較に都合のよい期間や指標へ置き換えない。
5 試行と段階導入
新しい帳票、設備設定、作業配置又はシステム機能は、影響範囲に応じて限定試行又は段階導入を検討すること。試行対象、判断権限、中止条件及び旧方式への戻し方を承認する。試行中の逸脱と通常工程の逸脱を識別し、結果を確認する前に全拠点へ展開しない。
6 成果と副作用の確認
実施後は計画した指標を基準状態と比較し、工程間、ロット間又は作業時点の差を評価すること。新たな待ち時間、記録負担、取り違え又は別工程への問題移転がないか確認する。改善が成立しない場合は、その結果を失敗として隠さず、仮説、範囲又は方法を見直す。
7 標準化と横展開
確認済みの改善は、関連文書、様式、教育、設備設定及び委託条件へ反映すること。他工程又は拠点への横展開は共通性と相違点を評価してから決める。改訂版、教育完了、切替日及び旧方式の停止を照合し、一時的な注意喚起だけで案件を完了しない。
8 定着確認と管理層の見直し
案件完了後に定着確認の時期、抽出対象及び判断方法を定めること。再発、迂回操作又は指標の反転があれば再開する。管理層は未完了案件、資源不足、部門横断課題及び改善による新リスクを定期的に審査し、優先順位と責任を更新した記録を残す。
第5条(評価区分)
- 適合:複数の品質情報から改善案件を選び、基準状態、導入、成果及び定着まで一貫して説明できる。
- 一部適合:案件の実施と成果確認は成立し、横展開又は定着記録の不足に期限付きの補完計画がある。
- 不適合:改善理由を記録しない、結果確認前に変更を固定する、又は不成立の案件を根拠なく完了扱いにする。
第6条(運用)
自己適合宣言では情報源、案件選定方法及び管理層の見直し範囲を示す。本協議会は完了案件と見送り案件を抽出し、優先順位、実施前後の証拠及び定着状況を確認する。品質指標、工程構成及び組織課題の変化を踏まえ、改善候補の分類と審査方法を更新する。
附則
本基準は2026年9月10日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。