一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月10日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
停電、火災、地震、設備停止、通信障害、漏出又は要員不足は、通常手順の前提を同時に失わせる。個々の警報へ場当たり的に対応すると、人の保護、細胞・検体の維持、データ保全及び外部連絡の優先順位が衝突する。緊急時には即時の安全確保と品質判断を分け、平常化までの状態を記録する必要がある。本基準は、想定事象ごとの指揮、初動、代替手段及び復旧判定を整えるため制定する。
第1条(目的)
品質活動を脅かす緊急事象について、検知、通報、初動、指揮、対象物保全、代替運用、外部連携及び復旧の要件を定める。通常管理が失われた期間と影響対象を特定し、再開の根拠を説明できることを評価する。
第2条(適用範囲)
細胞加工、試験、保管、情報システム、用役、搬送及び廃棄に影響する自然災害、火災、停電、設備故障、温度異常、供給停止、通信断、汚染事象、漏出並びに重要要員の不在に適用する。人命救助及び公的機関の指示を最優先とし、その後の品質保全と復旧管理を対象とする。
第3条(用語の定義)
- 1. 緊急事象:通常の権限、設備又は手順だけでは管理を継続できない突発的状況。
- 2. 初動:検知直後に行う通報、避難、隔離、停止及び状態保全の措置。
- 3. 代替運用:通常設備又はシステムを使用できない間に承認して用いる限定的な方法。
- 4. 事業継続優先度:人の保護後に維持又は復旧する活動の順序。
- 5. 復旧判定:施設、設備、記録及び対象物の状態を確認し、通常運用への移行可否を決める判断。
第4条(要求事項)
1 事象想定と対応計画
事業者は拠点、工程及び保管形態ごとに起こり得る緊急事象、検知手段、影響する用役、対象物及び外部依存を洗い出すこと。人の保護、封じ込め、重要物の維持及び記録確保の優先順位を対応計画に示す。設備一覧、区域図及び供給契約と照合し、計画にない単一障害点を確認する。
2 通報基準と指揮移行
警報又は現場発見から、施設管理、品質部門、経営責任、委託先及び必要な公的窓口へ連絡する経路を定めること。発動権限、代行順位及び指揮の移行時点を明確にする。連絡先の有効性を点検し、通報時刻、事象、指示及び受領確認を時系列記録へ残す。
3 区域安全と工程停止
避難、立入制限、漏出封じ込め、火気管理及び危険源停止の手順を区域ごとに整備すること。中断した工程について、停止段階、開放操作、使用中資材及び未完了記録を可能な範囲で保全する。再入室は施設上の安全確認後に行い、品質上の再開判断と混同しない。
4 細胞、検体及び重要資材の保全
保管装置、培養中対象、試験検体及び時間依存性のある資材について、停電時間、代替保管、移送順位及び取扱限界を事前に定めること。事業者が判断規格を設定し根拠を提示する。移動した対象は識別、移動時刻、実際の環境履歴及び新しい所在を記録し、救出のための無断開放を行わない。
5 用役、システム及び記録の代替
電力、ガス、温度監視、入退室及び電子記録が利用できない場合の代替手段と、使用開始の承認を定めること。手書き記録には時刻、実施者、対象及び理由を残し、復旧後の入力では原票との対応を保持する。予備電源、通信手段及びバックアップの点検記録から利用可能性を確認する。
6 外部搬送と供給途絶
施設内で維持できない対象の移送先、受入条件、包装、経路及び引渡し責任を事前に検討すること。供給停止時は代替品の同等性確認を変更管理なしに省略しない。受入先の稼働状況、輸送手段及び連絡成立を確認し、予定外の移送を対象一覧と受渡記録で追跡する。
7 影響評価と復旧判定
事象終息後、影響区域、設備、対象物、記録欠落、環境履歴及び未完了作業を一覧化すること。点検、清掃、校正、環境確認又はシステム復元の必要性を決め、完了結果を品質部門が審査する。対象物の使用可否と工程再開を別々に判定し、被害が見えないことだけを再開根拠にしない。
8 訓練、事後検証及び是正
異なる時間帯、連絡不能者及び複合事象を考慮した演習を計画し、判断、通報、移動及び記録の所要と差異を残すこと。実事象又は演習後に計画との差、資材不足及び権限の曖昧さを分析する。是正事項に期限と確認方法を設け、次回演習で運用可能性を確かめる。
第5条(評価区分)
- 適合:緊急事象の検知から指揮、対象物保全及び復旧までが記録され、再開の品質判断を説明できる。
- 一部適合:主要事象への初動は成立し、一部の代替連絡又は演習記録に不足があるが補完計画が承認されている。
- 不適合:指揮者を決められない、影響対象を特定せず再開する、又は代替運用の記録を残さない。
第6条(運用)
自己適合宣言では対象拠点、想定事象及び外部依存を明示する。本協議会は演習又は実事象の一例から、初動記録、影響評価及び復旧承認を確認する。施設、用役、連絡体制及び保管対象の変更並びに地域の災害経験を踏まえ、対応計画を見直す。
附則
本基準は2026年9月10日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。