一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月10日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
電子記録は検索や共有を容易にする一方、画面に表示された値だけでは、取得条件、計算過程、変更者及び削除の有無を判断できない。装置、業務システム、表計算及び外部サービスの間で転送されると、時刻、単位又は関連情報が失われることもある。本基準は、電子的に生成・維持される品質記録について、利用開始前の確認から保存終了まで信頼できる状態を保つため制定する。
第1条(目的)
電子記録の真正性、完全性、可読性及び継続利用を確保するため、システム、利用者、入力、変更、承認、伝送、バックアップ及び移行の要件を定める。表示結果から原記録と操作履歴へ遡り、品質判断を再構成できることを評価する。
第2条(適用範囲)
細胞加工、試験、設備監視、在庫、教育、逸脱及び品質判定に用いるコンピュータ化システム、分析装置、記録計、表計算、データベース並びに管理された外部サービスに適用する。電子署名、画像、メタデータ及びシステム間インターフェースを含む。紙へ印刷した場合も、電子原記録を置き換えられるかを個別に評価する。
第3条(用語の定義)
- 1. 電子原記録:最初に電子的に取得され、内容の意味を支えるメタデータを伴う記録。
- 2. 電子署名:特定の利用者による確認又は承認を電子記録へ関連付ける仕組み。
- 3. 監査証跡:作成、変更、無効化及び承認の主体、日時、対象及び理由を時系列で残す履歴。
- 4. 権限役割:職務に応じて閲覧、入力、修正、設定又は承認を許可する単位。
- 5. 復元試験:保存したバックアップから記録と関連情報を利用可能な状態へ戻せるか確かめる試験。
第4条(要求事項)
1 システム台帳と利用目的
事業者は電子記録を扱うシステムについて、所有部門、用途、記録種類、設置又は提供形態、データ保管先及び他システムとの接続を台帳化すること。品質判断への重要性に応じて管理範囲を定める。現場の端末、装置及びファイル共有先を棚卸しし、台帳外の計算表や一時保存領域が正式記録に使われていないか確認する。
2 要件設定と使用前確認
記録の入力、計算、表示、検索、出力、権限及び履歴に必要な機能を利用開始前に定めること。事業者が受入条件と確認方法を定め、その根拠を提示する。想定する業務例、誤入力、通信断及び権限外操作を用いて機能を確認し、設定、版及び結果を承認記録として保持する。
3 利用者識別とアクセス管理
利用者ごとに固有の認証を割り当て、共有アカウントを通常業務に用いないこと。登録、権限変更、休止及び削除の承認経路を設け、管理者権限と記録承認権限を必要以上に兼ねさせない。利用者一覧を在籍・職務情報及びアクセスログと照合し、定期的に不要権限と休眠認証を処置する。
4 入力、訂正及び電子署名
入力値には実施者、入力日時、対象試料又は作業を結び付けること。訂正では元の内容を読み取れる状態で残し、訂正者、日時及び理由を記録する。電子署名は対象記録、署名者及び意味を分離不能に関連付ける。入力画面、署名履歴及び出力帳票を照合し、代理入力や承認後の無表示変更がないことを確かめる。
5 監査証跡と時刻
品質に影響する作成、設定変更、再処理、無効化及び削除試行を監査証跡へ残すこと。システム時刻の基準と同期方法を定め、時刻変更も記録する。照査者は業務上重要な操作を判定前に確認し、異常な連続訂正や結果選択を案件化する。監査証跡機能を利用者が任意に停止できる設定としない。
6 データ転送とインターフェース
装置からサーバー、システム間又は外部機関との伝送では、対象識別、値、単位、日時及び関連付けが保持されることを確認する。転送件数、失敗通知、再送及び重複防止の管理を設ける。送信元と受信先の照合結果を記録し、手作業で補った値を自動取得値と区別する。
7 バックアップ、障害及び復元
事業者は記録の重要性と生成頻度に応じてバックアップ対象、実施間隔、保管分離及び保持期間を定め、根拠を文書化すること。成功表示だけでなく、選定した記録、添付及び監査証跡の復元試験を行う。障害時の手作業記録、再入力及び重複処理の規則を定め、復旧後に欠落を照合する。
8 変更、移行及び廃止
構成、ソフトウェア、計算式又は保管先の変更は、影響を評価して試験後に反映すること。移行では元と先の件数、内容、メタデータ、関連付け及び可読性を照合し、不一致を記録する。システム廃止後も保存期間中の記録を検索・提示できる手段を確保し、閲覧用環境の維持責任を定める。
第5条(評価区分)
- 適合:電子原記録、署名、監査証跡及びアクセスが結び付き、障害又は移行後も判断過程を復元できる。
- 一部適合:主要システムの統制は成立し、補助的な台帳情報又は復元記録の不足に影響評価と是正予定がある。
- 不適合:共有認証で承認する、変更履歴を確認できない、又は品質判断に用いた電子記録を復元できない。
第6条(運用)
自己適合宣言では対象システム、電子原記録の所在及び外部サービス利用範囲を示す。本協議会は抽出した結果について、取得から署名、照査、保存までの記録鎖を確認する。システム更新、障害、権限逸脱及び復元試験の結果を踏まえ、要件と確認範囲を見直す。
附則
本基準は2026年9月10日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。