一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月9日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
環境測定の結果は採取位置、作業状態及び採取方法に左右される。区域全体の平均だけでは局所的な検出や同じ場所での反復を見落とし、結果の判明が工程終了後になる場合には、対象ロットとの関係が曖昧になりやすい。本基準は、採取の設計から結果の傾向評価、異常時の波及調査までをつなぎ、環境情報を工程判断に利用できるよう制定する。
第1条(目的)
環境モニタリングについて、監視点の選定、採取及び測定の管理、結果判定と対象工程への連絡を定める。数値の記録に加えて測定時の背景を保持し、異常と未測定の双方を品質部門が把握できることを評価する。
第2条(適用範囲)
細胞加工の作業区域、関連する清浄区域、設備周辺及び作業者の環境由来の汚染を確認する活動に適用する。浮遊粒子、浮遊・落下微生物及び表面付着微生物等、工程に必要な項目を対象とする。培養装置内の条件制御はJRQ-P-005、操作の管理はJRQ-P-006と関連付ける。
第3条(用語の定義)
- 1. 監視点:採取又は測定を行う位置を固有に識別した箇所。
- 2. 測定時状態:非作業時、作業中、清掃後等、結果の解釈に必要な区域の状態。
- 3. 警戒基準:通常の管理状態からの変化として注意を要する条件。
- 4. 処置基準:調査、使用制限等の対応を開始する条件。
- 5. 検出分布:検出結果を場所、時間、作業又は微生物の種類等に対応させた情報。
第4条(要求事項)
1 監視点の設計と責任
環境管理部門は開放部位、気流、搬入経路、作業者の接近及び過去の検出位置を踏まえ監視点を選ぶこと。品質部門が配置と対象項目を承認する。採取図、工程動線及び区域構成を照合し、採りやすい場所への偏りや、製品に近い重要箇所の未監視がないか確認する。
2 測定計画と判定基準
事業者は監視点ごとに方法、頻度、測定時状態、警戒基準及び処置基準を定め、その根拠を提示すること。導入時の情報と通常運用の実績を区別して計画を審査する。単回の超過だけでなく、反復検出や場所の広がりを判定へ含め、結果一覧と対応開始記録から基準の適用を確認する。
3 採取による工程への干渉
採取器具の配置、持込み、採取順及び回収方法を決め、採取操作が重要部位や気流を妨げないことを確認する。操作観察と採取位置図を照合し、予定位置で実施できない場合は変更理由と代替位置を記録する。作業者の表面採取後に必要な手袋交換等も操作手順と対応させる。
4 検体識別と試験条件
採取記録には監視点、開始終了時刻、区域状態、作業内容及び関連ロットを付すこと。微生物試験は使用培地、搬送、培養条件及び読取りの経過を保持する。採取台帳と試験受付、機器記録を照合し、培地の適用性や消毒剤持込みによる測定への影響を確認した資料へ接続する。
5 欠測と測定不成立
採取忘れ、機器停止、培地破損、混雑での位置変更等を結果一覧へ登録すること。欠測を未検出として集計せず、採り直しが元の作業状態を代表できるか判断する。計画上の予定件数と受領検体を突き合わせ、品質部門が欠測時間帯の工程記録から対象ロットへの追加評価を決定する。
6 結果照査と検出傾向
照査者は監視点別の実測値、検出頻度及び測定時状態を時系列に並べ、警戒基準未満でも反復や偏りを調べること。必要な同定範囲を事業者が定め、微生物の種類と位置の関係を検討する。原試験記録と検出分布を照合し、採取方法の異なる結果を無説明で合算して局所的な変化を隠さない。
7 異常時の工程評価
処置基準への該当や汚染の疑いは、検出箇所、作業時間及び共通設備から影響範囲を設定すること。結果確定前に対応を要する所見も品質部門へ知らせる。製造記録、清掃履歴及び在室記録を重ねて関連ロットを保留対象へ結び付け、環境結果だけで個別ロットの適否を自動決定しない。
8 再開条件と監視の更新
原因調査に応じて清掃、設備又は動線を是正し、再開に必要な確認条件を先に承認すること。追加測定の良好な結果で当初の異常を消さず、再開後の検出分布を追跡する。事業者が採取図、試験資料及び判定記録の保存期間を定め、監視点を廃止した後も位置と対象工程の対応を残す。
第5条(評価区分)
- 適合:採取位置と工程背景が明確で、欠測、検出傾向及び異常時のロット評価を連続して確認できる。
- 一部適合:重要箇所の監視と異常への対応は成立し、傾向図の補助注記等に修正期限が設定されている。
- 不適合:欠測を未検出とする、反復検出を集計から外す、又は影響工程を特定せず区域の使用を続ける。
第6条(運用)
自己適合宣言には区域、監視点及び評価対象期間を記載する。本協議会は申請された期間の採取予定と実績を対照し、検出から工程判断への連絡を確認する。監視網は区域改修、作業変更及び検出分布の変化に応じて見直し、監視点の追加・廃止理由を保持する。
附則
本基準は2026年9月9日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。