一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月9日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
洗浄・消毒の実施欄に記入があっても、汚れの残りやすい継手、裏面及び接触時間が不足した箇所は外観から把握しにくい。洗浄剤や消毒剤を使用した事実と、対象面が定めた状態になったことは別に確認する必要がある。本基準は、対象の汚れ、材質及び作業後の残留を踏まえた手順と、次工程への使用許可を対応させるため制定する。
第1条(目的)
細胞加工に関わる洗浄及び消毒について、方法の選定、作業条件、実施確認及び再使用の判断を規定する。未処理、処理中及び処理済みの区分を保ち、処理履歴から関連する工程を追跡できることを評価する。
第2条(適用範囲)
作業区域、設備表面、再使用器具及び対象となる配管の洗浄・消毒に適用する。分解洗浄、定置洗浄、拭取り及び物品搬入時の表面処理を含む。滅菌工程の成立確認は別に扱い、洗浄・消毒の完了を滅菌済みの表示へ置き換えない。
第3条(用語の定義)
- 1. 洗浄:付着物や残留物を対象から除くために行う処理。
- 2. 消毒:対象微生物の低減を目的として条件を定めて行う処理。
- 3. 接触時間:指定した薬剤が対象面へ所定の状態で接している時間。
- 4. 洗浄困難部位:構造又は使用状況により付着物が残りやすく、処理を確認しにくい箇所。
- 5. 清浄保持期間:処理完了後に定めた保管条件の下で再処理なしに使用を認める期間。
第4条(要求事項)
1 対象面と実施責任
区域又は設備の管理部門は、対象面、分解が必要な部位、接触材質及び想定残留物を一覧化すること。作業担当と使用前確認の役割を分ける。図面、現物及び前工程の使用記録を照合し、目視できない箇所や共用器具を対象から外す場合は、別の管理方法と理由を明らかにする。
2 方法と受入規格の根拠
汚れの種類、対象微生物、材質への影響及び後工程への持込みを考慮して方法を選ぶこと。事業者が薬剤濃度、接触時間、温度、すすぎ及び残留の規格を定め根拠を提示する。使用説明資料と対象面での確認結果を照合し、一般的な薬剤資料だけで現場条件を確認済みと扱わない。
3 薬剤の調製と識別
使用する薬剤は原液ロット、希釈液、調製量、調製日時及び使用可能期間を記録すること。濃度の確認方法と容器の管理条件を定め、別剤の容器へ無表示で移し替えない。調製票と容器表示、払出し履歴を照合し、誤希釈や期限超過を認めた場合は使用箇所まで遡って処置を判断する。
4 作業順序と処理条件
汚れの除去、すすぎ、乾燥及び消毒の順序を対象ごとに指定すること。消毒前に残留物がある場合の扱いを明示し、薬剤の混合や継ぎ足しを無管理に行わない。開始終了時刻、使用器具及び処理面を記録し、拭取りの範囲と接触状態が手順に対応するか現場観察で確かめる。
5 困難部位と確認試料
継手、底部、隙間等の洗浄困難部位から、採取位置及び確認方法を選定すること。拭取り又はすすぎ液を用いる場合は採取時点、回収の程度及び残留薬剤が測定へ与える影響を検討する。採取図と試験資料を照合し、結果が良好な平面だけを根拠に設備全体の完了を判定しない。
6 完了判定と保持状態
確認担当は外観、必要な残留確認、微生物の確認及び作業記録を受入規格と比較して完了を判定すること。事業者が未洗浄での待機時間と清浄保持期間を定め、保管条件を含む根拠を示す。処理済み表示と保管履歴を照合し、開放、濡れ又は期間超過があれば使用前の再処理要否を審査する。
7 不成立時の隔離と是正
処理漏れ、残留の不適合又は条件不足があれば対象の使用を止め、直前の使用先と共用範囲を特定すること。再洗浄だけで原記録を閉じず、分解不足、薬剤調製又は器具の汚染等の原因を調べる。再処理記録と追加確認を是正案件へ結び付け、品質部門の判断後に対象を再使用へ戻す。
8 変更時の確認と資料保持
薬剤、材質、汚れの種類又は設備構造を変更する場合は、既存の方法が使える範囲を再評価すること。洗浄記録と環境の検出傾向を対照し、処理方法の見直しにつなぐ。事業者は方法選定資料、採取図及び実施記録の保存期間を定め、対象設備と直前・直後の使用ロットから検索できるようにする。
第5条(評価区分)
- 適合:汚れと対象面に合った条件が裏付けられ、困難部位の確認から完了判定、保持状態まで対応している。
- 一部適合:処理条件と使用許可の根拠がそろい、採取図の補足等の不足に再確認時期が設定されている。
- 不適合:処理漏れを残して使用する、条件不足を再処理記録だけで隠す、又は薬剤残留を未評価とする。
第6条(運用)
自己適合宣言では対象面の群と採用する処理方式を示す。本協議会は申請対象の使用履歴から洗浄・消毒の記録を抽出し、処理完了の根拠を確認する。残留の検出や処理困難部位の追加を見直しに用い、採取箇所と作業順序を更新する。
附則
本基準は2026年9月9日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。