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監査証跡保全基準JRQ-P-001 制定:2026年9月3日

一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)

一般社団法人再生医療品質基準協議会

制定:2026年9月3日 / 施行:同日

前文(制定の趣旨)

再生医療・細胞加工では、培養条件、機器操作、試験、判定その他の工程が、電子システムを介して連続的に記録される。最終値だけが残され、作成、変更、削除又は再処理の経緯を確認できなければ、ロットの判断に至った過程を後から再構成できない。特に、共有識別子、時刻の不一致、管理者権限の常用及び監査証跡機能の停止は、記録の帰属と真正性を損なう固有の要因となる。本協議会は、操作履歴を原記録と結び付け、改変の兆候を検知し、説明可能な状態で保全するため、本基準を制定する。

第1条(目的)

本基準は、監査証跡の生成、閲覧、点検、書出し及び保存に関する責任と確認方法を定め、細胞加工工程の記録に対する追跡可能性を確保することを目的とする。

第2条(適用範囲)

製造、環境監視、試験、設備保守、教育、逸脱及び出荷判定に用いる電子記録システム並びに電子記録へ転記される機器内データに適用する。紙記録のみの工程についても、訂正履歴及び電子化後の原本との対応関係を対象とする。

第3条(用語の定義)

  • 1. 「監査証跡」とは、記録の作成、変更、削除、承認その他の操作について、実行者、日時、対象及び操作内容を自動的又は統制された方法で残す履歴をいう。
  • 2. 「原記録」とは、観察又は操作の時点で最初に固定された記録及びその意味を理解するための付随情報をいう。
  • 3. 「特権アカウント」とは、設定変更、利用者登録、証跡機能の制御等を行える高位の権限を持つ識別子をいう。
  • 4. 「時刻同期」とは、対象機器及びシステムの時刻を、管理された基準時刻に整合させることをいう。
  • 5. 「証跡レビュー」とは、原記録と操作履歴を対照し、説明のない変更等の有無を判定する行為をいう。

第4条(要求事項)

1 責任及び権限の分離

事業者は、システム管理、記録入力、工程承認及び証跡レビューの責任者を定め、通常業務で特権アカウントを共用しないこと。権限表、利用者台帳、付与・変更・失効の申請記録及び定期的な棚卸結果を照合し、退職、異動又は委託終了後に不要な権限が残っていないことを確認する。

2 証跡機能と時刻の管理

対象システムでは、重要記録の生成から保存終了まで監査証跡を有効にし、利用者が任意に停止又は上書きできない設定とする。機器間の時刻差、時刻変更及び同期失敗を管理し、構成仕様書、設定画面の記録、時刻同期ログ並びに機能試験記録によって確認する。

3 変更、削除及び再処理の可視化

入力値の訂正、ファイル削除、再測定、再解析及び結果の無効化について、変更前後の内容、理由、実行者及び承認者を原記録と関連付けること。証跡レビュー担当者は、試験一覧、連番、失敗操作及び再処理履歴を照合し、説明のない欠番又は選択的な結果採用がないかを記録する。

4 レビューとロット判定の接続

事業者は、品質への影響を踏まえてレビュー対象と時点を手順書に定め、重要工程の証跡確認をロット判定前に完了させること。レビュー票には対象期間、システム、例外、調査番号、判定者及び未解決事項を記載し、ロット記録と相互参照できることを確認する。

5 書出し、バックアップ及び復元

監査証跡は、内容を検索及び閲覧できる形式で原記録と一体的に保存し、システム更新後も意味を失わないこと。事業者が保存期間と復元条件を定め、その根拠を文書化する。定期的なバックアップログ、読取り試験、復元試験及び媒体移行記録により、証跡を含む記録を再構成できることを確認する。

6 異常検知及び是正追跡

連続した認証失敗、権限外操作、証跡設定の変更、異常な時刻変更その他の兆候を検出した場合は、対象記録を保全し、影響ロットと利用者を特定すること。警告ログ、逸脱票、調査記録、是正措置及び完了後の再確認記録を連結し、未処理の異常を品質判定から切り離さない。

第5条(評価区分)

  • 適合:全要求事項について責任、手順、記録及び判定の証拠がそろい、重要な証跡を原記録とともに復元できる。
  • 一部適合:基本的な証跡は保全されているが、対象範囲、レビュー又は復元確認の一部に不足があり、影響評価を伴う是正計画が管理されている。
  • 不適合:証跡機能の無管理な停止、共有識別子による帰属不能、説明のない削除若しくは変更、又は重要記録を復元できない状態が認められる。

第6条(運用)

事業者は対象システム一覧と証跡レビューの結果に基づき自己適合宣言を行うことができる。本協議会は申請により、設定記録、抽出した監査証跡及び是正追跡の整合性を確認する。本基準は、システム構成、記録媒体又は関連する公的要請の変更を踏まえて見直す。

附則

本基準は2026年9月3日から施行する。

※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。

本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。事業者は本基準に基づき自己適合宣言を行うことができ、本協議会は申請に応じて確認を行います。基準の引用・活用に関するお問い合わせは こちら

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