一般社団法人 再生医療品質基準協議会 制定基準(原文)
一般社団法人再生医療品質基準協議会
制定:2026年9月6日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
純度は一見単純な割合に見えるが、乾燥物換算か現物基準か、単一化学種か関連物質を含む総量か、どの分析法の信号を用いたかにより意味が変わる。溶媒、水分、塩、対イオン、担体又は異性体を分母若しくは分子に含めるかが示されない数値は、消費者及び取引先による比較を誤らせるおそれがある。本基準は純度規格の数値を一律に定めず、事業者が採用した純度の定義と証拠を、読み手が再解釈できる形で開示するために制定する。
第1条(目的)
本基準は、細胞機能関連成分の純度を表示又は取引資料で提示する際の、対象物質、分母、換算基準、分析法、ロット及び不確かさに関する開示要件を定める。
第2条(適用範囲)
本基準は、単離物、塩、結晶、濃縮物、抽出物及びこれらを担体等で調製した原料又は製品に付す純度、純分、主成分比率その他これに類する表示に適用する。配合後の含有量表示は、純度と同じ意味で用いない。
第3条(用語の定義)
- 1. 純度表示:測定対象が試料中に占める割合として外部へ提示する情報をいう。
- 2. 分子:純度計算において測定対象として算入する化学種又は信号の範囲をいう。
- 3. 分母:現物、乾燥物、有機成分総量その他、割合計算の基礎となる試料範囲をいう。
- 4. 面積百分率:クロマトグラム等の検出信号面積の比率であり、質量分率と当然には同一でない値をいう。
- 5. 換算基準:遊離体、塩、無水物その他、結果を表示値へ換算する基準形をいう。
第4条(要求事項)
1 純度の定義表示
事業者は、純度の分子と分母を定義し、現物基準又は乾燥物換算等の計算基準を数値に近接して示す。単一化学種、異性体の合計又は関連物質群のいずれを対象とするかを明らかにし、「高純度」等の相対的表現だけで定義を代替しない。
2 形態と換算の開示
塩、溶媒和物、水和物又は複合体については、表示値が当該形態の質量か、遊離体等への換算値かを示す。対イオン、水分、残留溶媒、灰分その他計算に影響する要素の扱いを記載し、換算式、使用係数及び係数の出典を根拠資料として提示できるようにする。
3 分析法に依存する意味の説明
試験方法の原理、識別番号及び定量対象を表示資料又は参照先に示す。面積百分率を質量分率として扱う場合は、応答差、標準物質及び補正の根拠を説明する。複数の方法で異なる純度概念を得るときは、一つの数値へ統合せず、方法別の意味を区別する。
4 不純物情報との関係
純度値のみを示して残余成分がすべて特定済みであるとの印象を与えない。既知の関連物質、工程由来成分、水分等の測定範囲と、未同定信号又は測定対象外の範囲を区別して開示する。純度から差し引いて算出した残余を、個別不純物の実測値として表示しない。
5 規格値と実測値の区別
事業者が定めた受入れ規格又は表示管理範囲と、特定ロットの実測結果を見出し及び単位で区別する。規格値には設定根拠と適用版を、実測値には検体識別、試験日及び成績書への導線を付す。代表値又は典型値を全ロットの保証値と解釈させない。
6 丸め、下限及び不確かさ
表示桁、丸め方法、定量下限並びに測定不確かさが適合判定又は比較へ影響する場合は、その取扱いを説明する。検出されなかった成分を純度計算でどのように扱ったかを示し、定量下限未満を常にゼロとして説明しない。事業者は表示精度を定め、分析能力との整合根拠を提示する。
7 調製物及び最終製品での表示制限
担体又は賦形材を加えた調製物では、添加前原料の純度と調製物中の目的成分割合を別項目として示す。最終製品に原料段階の純度を記載するときは、その値が製品中割合ではないことを明示し、対象原料ロット及び配合記録から確認できるようにする。
第5条(評価区分)
- 適合:分子、分母、形態、換算基準及び分析法が明示され、規格値とロット実測値並びに原料純度と配合後割合が区別されている。
- 一部適合:純度の基本的意味は確認できるが、丸め又は測定対象外範囲の説明に不足があり、補足予定が記録されている。
- 不適合:面積百分率と質量分率を説明なく同一視する、分母を示さない、又は原料純度を最終製品中割合として提示する。
第6条(運用)
事業者は、純度定義書、計算式、分析法資料、ロット別成績書及び公開画面の照合記録により自己適合宣言を行うことができる。本協議会は申請に応じ、表示数値から測定結果及び計算過程までを確認する。化学形態、分析法、換算係数又は調製方法の変更時には純度表示を再検討する。
附則
本基準は2026年9月6日から施行する。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。